- 具体化できない活動
- 情報共有の促進に留まる
- 組織変革が中途半端に
- 変革の定着化に甘い見通し
- 行動変容にインパクト出せない
- 最初の打ち上げ花火で終わる
- 外部の専門家に依存
- 話をつなぐだけ
- 日々の問題解決が進まない
- 決定事項の押し付け
- プレッシャーをかけるだけ
- 変革への共感や支持が集まらない
組織変革の取り組みで、「推進担当部署」を設置する企業が多くあります。しかし、チェンジマネジメント(変革推進)のノウハウ不足で、結果を残せないケースが少なくありません。
現在のようなコロナ禍やデジタル革命の中では、事業環境の変化は非常に激しいです。その変化にスピーディーに適合できるか否か・・が勝負の別れ目です。
この戦いは、経営トップの号令だけで勝ち抜けるものではありません。経営トップのビジョンや戦略を徹底的に実行できる現場の行動力が不可欠です。
従来の行動様式から脱却し、新しい行動様式へと変容する・・そのプロセスの中心となってくれることを期待しての「推進担当部署」です。巧みなチェンジマネジメント(変革推進)の仕掛けの構築が求められます。
制度改革とは違い、「全社一律・一斉導入」という進め方はできません。職場ごと(極論すれば、個人ごと)の固有の事情に沿った変革活動の展開が必要です。
しかしながら、配備した変革推進部署がうまく機能しない・・という悩みを多くの会社が持っています。チェンジマネジメントの経験やノウハウに長けた推進部署が旗振りをすることが理想ですが、そうではないのが現実です。
やってみなければ、分からないというところもあるので、まずは推進部署を立ち上げる!というアプローチは現実的です。
その上で、経営トップとしては、「その後」を観察する必要があります。そして、もし、推進部署に次のようやばい兆しを感じた時には、経営トップは対応策を早急に打たなくてはなりません。
その兆候とは、変革推進部署が・・;
1)情報共有の「調整役」となっている
2)社内むけの「広報役」となっている
3)外部丸投げの「取りまとめ役」となっている
4)上から目線の「お目付役」となっている
の4パターンが代表例です。
前兆1)情報共有の「調整役」となっている
推進部署が自身のやるべきことの重要性を理解できておらず、活動を具体化できていないパターン。「社員は、自分の進捗状況の遅れに気づけば、頑張って挽回するはずだ」と考えてしまう(=チェンジマネジメントの経験やノウハウが乏しい)ことが主たる原因です。
社内のプロジェクトの進捗状況の共有化の会議を主催したりといった「調整」は行いますが、単なる情報共有に止まりとなりがちです。「切った、貼った」のスピード感が出ません。
「進んでいるような・・遅延しているような・・」「うまく行ってるような・・行ってないような・・」という煮え切らない中途半端な状態に陥りがちです。
前兆2)社内むけの「広報役」となっている
社内への情報伝達活動(広報活動)に限定してしまっているパターン。「新しい仕事のビジョンを伝えたら、社員は理解して動く」と組織変革の定着化についての見通しが甘いことが主たる原因です。
変革プロジェクトでの決定事項を社内に浸透させる活動・・例えば、説明資料の配信・社内向けのポスターの制作・イベントの開催・社内snsでの発信など・・を積み上げのみで、現場の行動変容そのものの促進にインパクトを及ぼす施策を打ち出せません(そもそも、行動変容を支援するという発想がない)。
実行フェーズの初期では、社内の盛り上がりを演出するのがうまくいくことが多いです。しかし、行きの長い変革活動の継続につながらない状態に陥りがちです。
前兆3)外部に丸投げの「取りまとめ役」となっている
企画から運営までを外部のベンダーに丸投げ(アウトソース)して、変革実現のための具体的な課題解決への動きがないパターン。「手慣れた外部の専門家に任せたら安心だ」と勘違いしていることが主たる原因です。
経営トップからの指示や現場からの要望をアウトソース先につなぐだけです。問題解決のための関係者間の利害調整や二者択一の難しい状況での決断などでの「水面下の動き」を繰り出すことができません。
経営トップや幹部への説明資料などは綺麗で充実したものを作成しますが(アウトソース先による代筆が多いが)、日々に発生している具体的な問題解決が一向に進展しない状況に陥りがちです。
前兆4)上から目線の「お目付役」となっている
推進部署が高圧的なスタンスで上層部の決定事項を現場に押し付けてしまうパターン。「トップダウンで危機感を煽らなければ、人は変容できない」と勘違いしていることが主な原因です。
顧客や市場の環境変化に根差す「わが社の変革の必要性」や過去の成功体験や慣れからくる「従来の仕事のやり方の過度な固執」を伝えて現場社員へプレッシャーをかけるだけです。「新しいあるべき行動パターン」が長続きしない平均的な社員を助ける施策を打ち出すことができません。
変革の方向性や意図が正しいものであっても、現場サイドの共感や支持を得ることができず、「面従腹背」のような接し方で変革が遅々として進まない状態になりがちです。
まとめ)「やっていなければ分からない」の現場感覚
社内には様々な事情やしがらみが存在します。それらの中で、組織変革を推進するには、理想論では対処できないところが多々あります。「泥縄式」に対応を続ける局面も必ずあります。
そうは言っても・・各社でのチェンジマネジメントの経験を通じて「鉄板の定石」というものも集約されてきています。
「変革推進部署をうまく機能させるためのコツ」については、別記事でご紹介していきます。