中小企業の健康経営


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HOME | 中小企業の『健康経営』入門 | 2章2節:経営者が主導する「巻き込み」「見える化」「きめ細かさ」

健康経営でトップが大切にする3つのこと

会社の戦略目標の達成に不可欠である「イキイキ好調な社員・ウェルビーイングな社員」を支える組織風土は、上意下達の強制力で実現できる類のものではありません。
 
機運と行動に溢れる現場を育むための、経営トップによる「巻き込み」「見える化」「きめ細かさ」が決め手です。
 

 
健康戦略・健康投資
 
<目次>
1)文化再構築の先導役は経営トップ
    ・ 強制スタイルから醸成スタイルへ
    ・ 未体験ゾーンで挑戦する社員
    ・ 文化づくりは、自然発生ではなく意図的に
2)カルチャーづくりへの「共感の輪」を広げる
    ・ 現場リーダーを「巻き込む」
    ・ 「見える化」して状況を共有する
    ・ 実態に即して「きめ細か」にてい提供する
    ・ 個別対応で「きめ細か」にアプローチする

1)文化再構築の先導役は経営トップ

・強制スタイルから醸成スタイルへ

健康経営・ウェルビーイング職場づくりは、号令をかけて全員に従わせる”強制スタイル”では実現できません。「自分や仕事仲間のコンディション向上に気を配ることで、互いに成長する」のムードを粘り強く社員の中に育てていく”醸成スタイル”が必要です。
 
これは、まさに経営トップにしかできない役割です。
 

・未体験ゾーンで挑戦する社員

「イキイキとした好調な自分自身を実感できている社員は、高いパフォーマンスを発揮する」との考え方は、社内の誰もが理解できるはずです。しかし、日々の実践行動として、すぐに具体化できる人は少ないのが実態です。
 
従来は「健康は、各個人でなんとかするもの。会社や職場が面倒を見るものではない」という意見が主流でした。なので、「ウェルビーイングな職場づくり」のは未経験であるが故の、試行錯誤の繰り返しとなります。どうしても、社員の多くは尻込みしたり、躊躇したりしがちです。
 
そのような人々には、目指す世界を具体的にイメージしてもらい、新しいやり方にトライ&エラーして、自分にあった形を見つけ習慣化する・・そういうチャレンジへお後押しが不可欠です。
 

・文化づくりは、自然発生ではなく意図的に

未体験ゾーンでの新しいチャレンジでは、試行錯誤と軌道修正の繰り返しです。各現場の動きをまとめて、「環境変化に打ち勝てる強靭なコンディションづくり」に向かうには、組織の中に一貫した共通の指針が不可欠です。
 
この指針は様々な社員の関係性から、自然発生的に生まれてくるものではありません。経営者が打ち出すビジョンや大切にしたい価値観などをもとに形成されるものです。すなわち、経営トップが音頭をとって意図的に作り上げるものです。
この「意図的」という単語は、社員の思いに関係なく「強制」するのではなく、社員の共感を引き出すように「醸成」する・・というニュアンスです。自社の製品やサービスに対する外部の顧客からの共感を引き出すことに腐心するのと同様に、自己が成長しパフォーマンスを伸ばす「新しい社内文化」に対する内部の社員からの共感を引き出す活動に腐心するのです。

2)カルチャーづくりへの「共感の輪」を広げる

繰り返しになりますが「号令」をかけて実現できるものではありません。社員一人一人の認識を広げ、その気になり、まず初めの一歩を踏み出してもらう・・そのようなムードを社内に作り出していく発想と手腕が経営トップに求められます。
 
中小企業だからこそ、経営トップと社員の距離が近いのが有利なところです。自分自身のビジョンや考え方を誠実に説き、支持者・賛同者を一人ずつ獲得していきます。一種の「社内世論」を作り上げていく作業と言えます。
 
概論としては以下の項目です。
 

・現場リーダーを「巻き込む」

健やかでウェルビーイングな職場の重要性について、健康経営とパフォーマンスの結びつきを示しながら、リーダー格の社員にしっかりと理解してもらう取り組みに注力してください。そして、彼らが現場でのロールモデルとして動いてもらうことを後押しします。
 
コンディション好調にイキイキと社員が働ける会社のカルチャーづくり・・それに向けての具体的な行動は組織の上層部にかかっています。ウェルビーイングの思想を会社の戦略実行のプロセスに浸透させたいのです。
 

・「見える化」して状況を共有する

社員のウェルビーイングへの要望や組織へのエンゲージメントの高さなどの実態を数値化できる社内調査を必ず実施してください。社員に対しての職場エキスペリエンスや提供価値が適切で効果を上げているかどうかを、継続的にチェックして改善を続けなくてはなりません。
 
これらの数値改善への経営者としてのこだわりを示すことで、ウェルビーイング改革を推進していくことが重要な職務であるということを現場の各リーダーは心に留めるようになります。
 

・実態に即して「きめ細か」に提供する

社内での実態調査やサーベイからの見えてきた実体に従って、やるべき施策をきめ細かく設定してください。全社・一律・一斉の施策では対応できません。そして、それぞれの施策は、仕事の現場で必要となるマインドやスキルを育む取り組みと一体化させます。例えば、他者との共感関係の構築、複雑な環境での問題解決のあり方、チームでのコラボを促進するための感情インテリジェンスなどです。
 
このような基盤を整備することにより、現場の社員がデジタル時代の中で成長し、イノベーション を生み出せるようになります。
 

・個別対応で「きめ細か」にアプローチする

社員の一人一人が意味合いと中味を知り、それらを利用したい・・と思ってもらってこそのウェルビーイング施策です。そのためにも、会社全体としての効率性を追求しつつも、一人ひとり異なるニーズに対応する形で、提供メニューをパーソナル化して提供できるようにしたいものです。
 
その上で、(社外の顧客と接する時と同じように)社内むけのコミュニケーションのあり方や一種のマーケティング計画を組み立て、会社のウェルビーイング施策に対して社員が引き付けられるように神経を張り巡らします。


社員のコンディションを増進するには、一人一人が「当事者として」「その気になって」「進んで行動したくなる」ような状況が不可欠です。独裁者的に命令しても、そのような状況を作り出すことはできません。
 
社内の多数派の支持を引き寄せる「世論形成」への注意深さと丁寧なアプローチが経営者に求められます。