中小企業の健康経営


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HOME | 中小企業の『健康経営』入門 | 1章1節:快調社員の増加が業績を底上げ

「健康だが不調」でパフォーマンスが15%も低下

健康経営とは、従業員のコンディションを強化する支援プログラムを「人材投資」として実践し、会社の生産性や創造性を高めて業績向上につなげる経営アプローチです。
 
心身ともに快調かつハッピーに、実力をフルに発揮できるように、会社が従業員に対してサポート提供します。その結果、エンゲージメント向上や組織活性化にも波及して、会社全体のパフォーマンス向上につながります。

プレゼンティズム問題
<目次>

1)年間73万円/1人・・人件費の無駄遣い

 
健康でありながら、何らかの不調を抱えている・・。そういう自覚をもつ働く人が大変に多いです。そういう人の殆どは、仕事のパフォーマンスの低下も発生しています。
 
「好調ならば発揮できる仕事の出来を100とすると、実際には84の出来に留まっている(=16%のパフォーマンス低下)」というのが平均なのです。個人によって差はありますが、全体としては「本来の実力を発揮できていない」というのが実態です。
 
この数値は、中小企業6社を対象に、横浜市と東京大学による2017年の共同調査で明らかにされました(システム開発・廃品回収・医療機関などの事業所)。

 (参考)「横浜市のすすめる健康経営」(経済産業省ホームページより)

 
パフォーマンスが低下したからと言って、給与が減額されるわけではありません。言い換えると、経営者にとっては「成果を出していない労働」に給与を払っていることになります。
 
対象企業の社員の平均年収は437万円でした。したがって、パフォーマンス低下分に相当する16%は73万円です。これが「成果を出していない労働時間に支払ったコスト」ということになります。大企業を対象とした経済産業省の調査(2016)でも不調によって15.1%の人件コストを損失したと報告されています。
 
「なんと・・勿体ない!!」。
 
この実態を知った経営者は、目を剥き出して驚くはずです。価値を生み出していない労働にコストをかけていることになるのだから当然です。

2)健康経営では、「コンディション強化」で業績アップ

 ・ 100%の実力発揮してるのは、たったの3割!

前述の中小企業を対象とした横浜市の調査では、100%の実力を発揮できている人も存在します。
 
しかし、それは10人中の3人だけ。
 
なんと、7割の人はパフォーマンス低下が発生していました。20%低下の社員、30%低下の社員がゴロゴロしている状態ということであり、無視できない問題状態です。
 
中小企業の経営トップは、離職や採用難で人手不足に悩んでいます。それなのに、今いる従業員も、実質的には「人数減」になっているのです
(例えば、100人の社員がいても実質的には84人の状態)。

 

・ 病気よりも「不調」が大きな問題

健康経営という言葉からは「不健康をなくす = 病気や怪我で休む人を減らす」のイメージと繋がりやすいですが、実際の問題は違います。
 
前述の中小企業を対象とした横浜市の調査では、病気や怪我で休むのは一人当たり年間2.6日。人件コストに換算して3万円ほどです。その20倍以上の73万円が「コンディション不調のままの労働」で発生しているのが実態です。
 

・ 不調の解消で労働力を増強する健康経営

社員が不調から解放されて、労働時間の全てで「100%の実力」を発揮できるようになったら・・・。その時に生み出される利益が半端なく大きくなるのは、容易に想像できます。実質的に労働力が増えることになるからです。
 
健康経営とは、社員のコンディション増進を通じて、仕事の生産性や創造力を高めるアプローチです。従業員のコンディション向上を経営課題と捉え、会社として継続的に実践していくものです。

3)コンディショニング問題の解決へ「行動変容」を

 
産業医科大学の研究によると、コンディション不調の三大症状は、「肩こり」「眠気」「腰痛」です。
 
これらに対して、先端企業の代表的なアプローチは、「運動習慣の増進」「睡眠の質の向上」「栄養バランスの改善」といったライフスタイルでの行動変容を促す仕掛けです。
 
講習会やイベントを社内で開催することが盛んになっています。が、それだけでは社員の行動変容が定着化するのは難しい・・という企業の声も多く聞きます。福利厚生としてメニュー提供するというだけで、コンディション改善を実現できた企業は非常に少ない印象です。
 
新しいライフ&ワークスタイルを一人一人の社員が実践できるように「組織開発」「インターナル・ブランディング」という手法で会社が支える方式へのチャレンジが増えてきています。


「ヨレヨレ社員」の組織から、「イキイキ社員」の組織へ。健康経営は、会社のパフォーマンスを高めるための新しい経営アプローチの着眼点です。
 
心身ともに好調を保てるようになることで、100%の自分の実力を継続的に発揮できるようになります。
 
そのような社内カルチャーや仕組みを作り上げる「コンディショニング革命」の発想・・。これからの働き方改革の焦点と言えます。