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従業員エンゲージメントを重視する経営者

ハーバードビジネスレビュー誌の調査によると、従業員エンゲージメントの向上を最優先の経営課題とする経営者が増えているそうです。
(参考)
The impact of employee engagement on perfromance
 https://hbr.org/sponsored/2016/04/the-impact-of-employee-engagement-on-performance
 
変化の激しいビジネス環境で成長や勝ち残りを実現するには、高いパフォーマンスを発揮できる人材の確保が不可欠である・・という考え方は、日本の中小企業にもあてはまります。高いパフォーマンスを発揮するのは、エンゲージメントの高い社員です。これを高める効果的な施策がウェルビーイング改革です。

 
従業員エンゲージメント
 
<目次>
3)先行企業からのヒント

    ・ 現状調査にひと工夫
    ・ 事業戦略のカスケード展開
    ・ ビジネス成果の見える化

1)従業員エンゲージメントが高いとパフォーマンスも高い

エンゲージメントの高い人材こそが、イノベーション を起こしたり、高い生産性をあげたり、利益を叩き出したりすることを可能にしていると考えられています。このような人材が集まった職場のほうが、そうでない職場よりも業績が高くなると期待されています。
 
実際のところ、ギャロップ社の調査でも肯定的な結果が報告されています。
 
エンゲージメントの高い職場では、そうでない職場と比較して、顧客満足で10%、生産性で21%、収益性で22%を上回っていたそうです。
(参考)
ギャロップ社「Employee engagement  drives  growth」
https://www.gallup.com/workplace/236927/employee-engagement-drives-growth.aspx
 
エンゲージメントとパフォーマンスに相関関係があることは間違いなさそうです。多くの経営者がここに着目した改革を志向するのもうなづけます。
 
(従業員エンゲージメントとは何か?)

2)エンゲージメント向上の実務ノウハウは発展途上

「従業員エンゲージメントを高めたい」。ほとんどの経営者が持つ明確なニーズです。「わが社の従業員エンゲージメントは高い」と答えた経営者は4分の1未満にとどまっていました(HBR調査)。具体的な基本構想を練り上げ実践に移行すべしとの指令が出ていることは想像に難くありません。
 
 
しかし、従業員エンゲージメントを計測し改善する「実務手法」について、未だ確立できていないのが現実です。経営者の危機感は高まっているのに、具体的な施策を組み立てるには「悩みが多い」といった雰囲気と解釈できます。
 
 
とはいえ、管理指標と実践手段を(半ば実験的な取り組みも含め)いろいろと試行錯誤する先行的な企業は増え続けています。弊社のコンサルティング活動を通じた「肌感覚」としても、そう感じます。これらの企業では、トライ&エラーからの学びを収集し、仕事パフォーマンスに効き目のあるエンゲージメント施策の有効性をどんどんと高めています。
 
このような企業の取り組みから、私たちにとっての参考点も浮かび上がってきています。

 

3)先行企業からのヒント

・現状調査にひと工夫

まずは、現在の状況を把握するための社内調査です。従業員エンゲージメントを表す仕事への活力度/熱心さ/没頭感の状況を明らかにすることが主目的です。仕事でのパフォーマンス発揮に向けての「勢いとパワー」の社内状況を把握したいのです。
 
ここでは、従業員満足度の調査にならないように注意したいところです。「職場の居心地の良さ」を問いかけても意味がありません。従業員満足度の高さと仕事パフォーマンスの高さには関係性がないからです。

そして、集まった調査結果をもとに、何がうまくいっているのか(or上手くいっていないのか)を整理し、その背景やエンゲージメント向上への阻害要因を探ります。調査データで全てが明らかになるものではありませんが、社内のキーパーソンでの議論や現場への直接ヒアリングなどを通じて「有力な仮説」は出来上がるはずです。場合によっては、これらの仮説を検証するための追加サーベイも考えられますが、そこまで手が回らないという会社が多いのが現実です。
 
現状調査で浮かび上がった問題点は、会社の戦略構築や実行を強力に推し進めるため達成課題として活用できるものです。

・事業戦略のカスケード展開

「高いパフォーマンスを承認してくれること」「自分の仕事が会社の戦略実現に貢献できていること」「経営陣が継続的に組織の方向性や戦略についてコミュニケーションしてくれること」。これらは、従業員エンゲージメントインパクトのある要素の代表例です。
 
会社の戦略と自分の仕事の結びつきはわかりにくい複雑なものではありますが、各人が自分なりのイメージを持つことが重要。そのような状況を作り出すために、会社として手を尽くすことが不可欠です。

したがって、経営陣はビジネス戦略としての方向性(Business objectives)を定め、組織内にそれらを浸透させます。そこで示された組織全体の大きなビジネス目標の実現に貢献できるように、自分の職場の方向性(Objectives)や目標(Goals)をより具体化して配下のメンバーに示すのは、中間管理職の役割になります。

そして、実践のための必要なツールをメンバーに準備し、ある程度の裁量を与え、説明責任を持たせます。これを通じて、組織全体の達成目標と整合の取れた具体的な個人目標を実現できるようになります。
 
全社目標→部門目標→・・・→個人目標という形での「連鎖的なつながり(カスケード)」を運用する業務プロセスとコミュニケーション確立したいものです。
 

・ビジネス成果の見える化

エンゲージメント向上の施策がビジネス成果へと結びついていることを継続的にデータ化して、社内で共有します。典型的には、顧客満足度調査や顧客フィードバックです。最近は、ネットプロモータースコア(NPS)が活用されることが多くなっています。 

エンゲージメントが高まった従業員が顧客と接することで、サービス提供の質の向上につながる・・という好循環で達成すると考えられています。
 
財務的な数値で示される最終成果の実現の前提事項となる、より業務よりの成果指標の改善に、エンゲージメント施策が結びつきます。これらの指標をターゲットに、各人の仕事が組み込まれています。共通のターゲット指標をモニタリングしながら、日々の仕事に励むのです。


個人任せにするのではなく、会社による「人材投資」として支援提供・・。社員の行動変容の実現度合は向上します。この施策が、社員のコンディションを向上し、社員のエンゲージメントを高め、一人一人の仕事パフォーマンスが発揮され、会社の業績へとつながる。
 
この流れには絶対的な「成功の方程式」は存在しません。施策の組み合わせと効果発揮のルートを「ビジネスケース」として仮説的に目論み、実践での結果を踏まえて軌道修正を重ねることで、ビジョンの実現に近づいていく・・このような社内ブランデイング/組織開発的な変革マネジメントとして取り組むのがウェルビーイング戦略(健康経営)です。